NHKホールのリアリティーキャプチャー

平成最後の紅白でも使われるNHKホールは音響のみならず放送することを前提に設計された日本でも屈指の多目的ホールです。歴史が古いため3DのCADデータなどは存在せず、現場の運用は全て2Dベースで設計されています。
今回はプロジェクションマッピング用のためにステージのフォトグラメトリー(写真計測)を行いました。将来的に様々なシミュレーションへの応用も考えられるため可能な限り正確なモデルを制作することを目標にしました。

撮影

常にスケジュールが詰まっている人気のホールだけに写真撮影のための時間を確保してもらうのも難しく、リハや現場調整の休憩時間を利用して撮影させてもらうことになりました。1階と2階からコースを決めてそれぞれの写真が十分に重なるように次々と写真を撮っていきます。

ステージ上も両そであたりから取りこぼしがないように撮影していきます。またテクスチャーとしても使用したいので障害物も可能な限り取り除いて撮影を進めます。

フォトグラメトリー

今回使用した写真計測用のソフトはReality Capture。計算スピードが速く多機能なので細かい調整が可能です。

コントロールポイントを追加しながら再計算を繰り返します。最終的にはコンポーネントが一つにまとまり全てのカメラ位置が特定されました。

メッシュとテクスチャを生成すると想像以上に細かい部分まで3D化されています。

客席側は下からの撮影しか出来なかったのであまり期待していませんでしたがこちらも結構良い感じでモデルが生成されています。

 

リトポロジー作業

フォトグラメトリで得られたメッシュをガイドとしてシンプルな面で成形し直していきます。

インポートしたメッシュに這わせながらリトポ作業を進めます。屋内の構造物なので必要な部分は水平垂直に整列させながらモデリングを進めます。

 

テクスチャー制作

フォトグラメトリで生成されたテクスチャやUVもそのまま使用せず新たに作り直します。

Reality Captureから取り込んだテクスチャの一部。アイランド化が激しい。

UVを新たに展開してカメラマップなどを使いながら地道にテクスチャを作っていきます。

テクスチャーに使用する画像は諧調が飛ばないようにRAWから丁寧に現像しています。

3Dモデルで再現したNHKホールのステージ

同アングルの写真

ステージ上から見た3Dモデル。照明装置は今回は割愛していますがパイプオルガンはしっかり再現しました。

同アングルの写真

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