スカイツリーの3Dマッピングモデル制作

スカイツリーへのマッピングは2016年にも行われましたが当時は3Dモデルを使用せずにコンテンツ制作と投影を2Dで行っていました。巨大な構造物ゆえにプロジェクターの数も6台となり、そのため現場での調整は難航したそうです。2018年はフォトグラメトリをベースにした高精度な3Dモデルを作成し、コンテンツ制作とマッピングに活用しています。

現場撮影

フォトグラメトリの元になる写真撮影はとても重要で屋外の場合は天候にも左右されます。今回の撮影は明け方の陽が昇る直前の数十分を狙って行いました。これだけ大きな構造物なのでドローンも使えると良かったのですが撮影申請だけでも大変だったのにさらにドローンの申請となると許可申請だけで何週間もかかってしまいそうだったのでスケジュール的に断念し、地上からの撮影と図面を頼りにモデルを制作することにしました。露出とホワイトバランス、焦点距離を固定して様々に角度を変えながら撮影しています。

フォトグラメトリ(写真による3D計測)

今回もフォトグラメトリはRealityCaptureで行いました。このソフトは計算スピードが速いのが特徴で、今回のように足場が限られていて必要な距離がとれなかったり、樹木などの障害物が多かったりする場合はフォトグラメトリ作業のトライ&エラーが多発するので解析スピードは非常に重要になってきます。

リトポロジー

RealityCaptureから出力したメッシュは100万ポリゴンに制限して3DCGソフト上で再成形(リトポロジー)していきます。フォトグラメトリの結果は優秀なガイドモデルにはなりますがそのまま使える代物ではないのでやたら大きなデータを取り込んでも扱いに苦労するだけになってしまいます。

フォトグラメトリで生成されたモデル。ガラス面など反射物はモデルに穴があいてしまう。

今回リトポに使ったCGソフトはAutodeskのMayaとSoftimage。支柱の太さや接合部分の位置などを後から編集出来るように最後まで非破壊で作業しています。

支柱の位置をカーブで再現しそれぞれのポールの太さはプロファイルカーブにリレーションさせたまま位置を調整しています。

 

最終的にはプロジェクターの投影位置に近いカメラを中心に3か所に絞って形状を追い込んでいきました。支柱は上に向かうほど細くなっているように見えますが一つ一つのポールは決して円錐形をしているわけではなく、接合部分で少しずつ円柱形が細くなっているのでここは図面に書かれた数字を信じて太さを合わせていきます。
最後は根性で写真と3Dモデルとカメラ位置がしっかり合うまでトライ&エラーを繰り返しマッピングに必要な精度が得られるまで作業を続けます。

プロジェクターの投影位置から近い場所。CGと写真がピッタリ合っています。

別のアングルでも奥まで支柱の位置が合っています。

フォトグラメトリーをガイドにしてマッピング作業でも使える綺麗なモデルが出来上がりました。

3Dモデルの展開

出来上がったモデルは投影シミュレーションやコンテンツ制作に活用することができます。一度このような精度の高いモデルを使ったマッピングのフローを経験すると以前のやり方に戻ることは出来なくなってしまうほどの便利さです。今回アフタイメージで行ったのは3Dモデルの提供のみですが、プロジェクションマッピングとフォトグラメトリは非常に相性の良い技術だという事が再確認できました。

東京スカイツリータウン® ドリームクリスマス2018

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